過払い金の返還|敗訴部分のうち不当利得返還請求に関する部分を破棄


主文
1 原判決中,上告人の敗訴部分のうち不当利得返還請求に関する部分を破棄する。
2 前項の部分につき,本件を東京高等裁判所に差し戻す。
3 上告人のその余の上告を却下する。
4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人遠山秀典の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)
3条所定の登録を受けた貸金業者である。
(2) 被上告人は,利息の定めを後記(3)のとおりとし,返済方式を元利均等方式とする旨の条項を含む約定で,次のとおり,上告人に金員を貸し付けた(以下,これらの貸付けを,番号に従い,「本件@貸付け」などといい,「本件各貸付け」と総称する。)。
@ 平成5年1月28日10万円
A 平成5年8月5日15万円
B 平成6年2月10日20万円
C 平成7年1月11日20万円
D 平成8年4月24日30万円
E 平成9年6月6日32万円
F 平成10年2月16日32万円
G 平成10年9月4日30万円
H 平成12年4月7日20万円
I 平成12年9月7日30万円
J 平成13年3月29日30万円
K 平成13年9月4日35万円
L 平成14年5月8日15万円
M 平成15年10月22日20万円
(3) 本件各貸付けの約定利率は,本件@〜D貸付けについては年40.004%(年365日の日割計算。以下利率につき同じ。),本件E〜H貸付けについては年39.785%,本件I〜M貸付けについては年28.981%とされていた。
(4) 被上告人は,上告人に対し,本件各貸付けに際し,借用証書の写しである「省令第16条第3項に基づく書面の写」と題する書面(以下「本件各契約書面」という。)をそれぞれ交付した。本件各契約書面には,「各回の支払金額」欄に,一定額の元利金の記載と共に「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載があったほか,過不足金が生じたときは最終回に清算する旨の定めもあり,被上告人が交付したと主張し,証拠として提出している償還表に記載された最終回の返済金額は元利金として記載された一定額とは異なっていた。
被上告人は,本件K〜M貸付けに係る契約を締結した際には,上告人に対し,償還表を交付した。
(5) 上告人は,被上告人に対し,本件各貸付けに係る債務の弁済として,原判決別紙計算書の「年月日」欄記載の各年月日に「支払額」欄記載の各金員を支払った(以下,これらの各支払を「本件各弁済」という。)。
(6) 本件各弁済の中には,被上告人から上告人に交付された「領収書兼残高確認書」と題する書面の記載内容が,貸金業法18条1項に規定する事項を満たさないものもあるが,被上告人は,それらの書面についても,上記事項を満たし,同法43条1項が適用されるものと考えていた。
2 本件は,上告人が,被上告人に対し,本件各貸付けの弁済金のうち,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると,第1審判決別紙1のとおり過払い金が発生しており,かつ,被上告人は上記過払い金の受領が法律上の原因を欠くものであることを知っていたとして,不当利得返還請求権に基づき,過払い金及び過払い金の発生時から支払済みまでの民法704条前段所定の利息の支払等を求める事案である。
3 原審は,次のとおり判断して,本件各契約書面は,貸金業法17条1項所定の事項を記載した書面(以下「17条書面」という。)ということができるとして,同法18条1項所定の事項を記載した書面の交付を欠く弁済を除く本件各弁済について同法43条1項が適用されることを前提に過払い金の額を算定し,かつ,過払い金について,被上告人は本訴の訴状が送達されるまでは悪意の受益者であるということはできないとした。
(1) 本件各契約書面には,「各回の支払金額」欄に元利金として一定額の記載があるから,本件@〜J貸付けに係る本件各契約書面は,償還表が別紙として添付されているか否かにかかわらず,貸金業法17条1項9号,貸金業の規制等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という。)13条1項1号チの各回の「返済金額」の記載要件を充足する。
(2) 民法704条にいう「悪意」とは,法的に不当利得の返還義務を負っていることを認識していることを意味するものであり,貸金業者において貸金業法43条1項が適用される可能性があることを認識している場合には上記の認識があるとはいえない。
貸金業者は,資金を高利で運用して利益を得るという経済活動をしているとはいえ,個々の顧客について常に同項の適用の有無を把握していたと断定することはできず,このことは被上告人についても同様である。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 原審の上記3(1)の判断について
貸金業法17条1項が,貸金業者につき,貸付けに係る契約を締結したときに,17条書面を交付すべき義務を定めた趣旨は,貸付けに係る合意の内容を書面化することで,貸金業者の業務の適正な運営を確保するとともに,後日になって当事者間に貸付けに係る合意の内容をめぐって紛争が発生するのを防止することにあると解されるから,貸金業法17条1項所定の事項の記載があるとして交付された書面の記載内容が正確でないときや明確でないときには,同法43条1項の適用要件を欠くというべきである(最高裁平成15年(受)第1653号同18年1月24日第三小法廷判決・民集60巻1号319頁参照)。
これを本件についてみると,17条書面には各回の「返済金額」を記載しなければならないところ(貸金業法17条1項9号(平成12年法律第112号による改正前は同項8号),施行規則13条1項1号チ),前記事実関係等によれば,本件各契約書面の「各回の支払金額」欄には「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載があり,償還表は本件各契約書面と併せて一体の書面をなすものとされ,各回の返済金額はそれによって明らかにすることとされているものであって,「各回の支払金額」欄に各回に支払うべき元利金が記載されているとしても,最終回の返済金額はそれと一致しないことが多く,現に本件においても相違しているのであり,その記載によって各回の返済金額が正確に表示されるものとはいえないというべきである。
それにもかかわらず,原審は,本件@〜J貸付けにつき,償還表の交付の有無についての認定判断をしないで,本件各契約書面の交付をもって,17条書面の交付があったものと認められると判断したものであるから,原審の上記3(1)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
(2) 原審の上記3(2)の判断について
金銭を目的とする消費貸借において利息制限法1条1項所定の制限利率(以下,単に「制限利率」という。)を超過する利息の契約は,その超過部分につき無効であって,この理は,貸金業者についても同様であるところ,貸金業者については,貸金業法43条1項が適用される場合に限り,制限超過部分を有効な利息の債務の弁済として受領することができるとされているにとどまる。このような法の趣旨からすれば,貸金業者は,同項の適用がない場合には,制限超過部分は,貸付金の残元本があればこれに充当され,残元本が完済になった後の過払い金は不当利得として借主に返還すべきものであることを十分に認識しているものというべきである。
そうすると,貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払い金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。
これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,貸金業者である被上告人は,制限利率を超過する約定利率で上告人に対して本件各貸付けを行い,制限超過部分を含む本件各弁済の弁済金を受領したが,少なくともその一部については貸金業法43条1項の適用が認められないというのであるから,上記特段の事情のない限り,過払い金の取得について悪意の受益者であると推定されるものというべきである。
そうすると,上記特段の事情の有無について判断することなく,貸金業者において貸金業法43条1項が適用される可能性があることを認識している場合には悪意の受益者ということはできないとして,同項が適用されない弁済について被上告人は訴状送達の日までは悪意の受益者であるということはできないとした原審の上記3(2)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。
5 以上によれば,論旨はいずれも理由があり,原判決中,上告人の敗訴部分のうち,不当利得返還請求に関する部分は破棄を免れない。そこで,償還表の交付の有無,上記特段の事情の有無等につき更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
なお,上告人は,取引履歴の開示拒絶の不法行為に基づく慰謝料請求もしたが,同請求については上告受理申立て理由を記載した書面を提出しないから,同請求に関する上告は却下することとする。

延滞債務者

両行は、ともにいわゆるバブル崩壊以降、不動産価格の下落や不況の長期化に伴って業績が悪化し、特に関連ノンバンクの支援のために経営体力を消耗していたところ、平成9年12月に預金保険法が改正され、複数の経営不振銀行を合併によって健全化するため、それらから預金保険機構が不良債権を買い取った上で合併させるとの特定合併の制度が設けられたことから、大蔵省等のあっせんに基づき、平成10年10月までにこの制度に基づいて合併することとなった(甲1〔5ないし8)、14の1〔16〕)。
そのため、平成10年3月期は、両行の合併前の最後の決算となったが、それ以前からA銀行においては、不良債権の解消と収益確保を図って、他の金融機関でも行われていた流動化スキームを積極的に行っていた。
この流動化スキームとは、延滞債務者の連帯保証人や関連会社に収益率の高い賃貸用不動産を新たに取得させ、当該不動産を担保として新たに融資を行い、その資金で旧債務を返済させたのち、新債務については賃貸料収入によって長期の分割返済をさせるというものである。


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〔控訴人〕
(1) 争点1(本件支出の違法性)
ア相手方又はその業務の性質が公益性を有し,補助対象経費がその実現の ために支出される限り,地自法232条の2が許容する補助に該当し,別 途,個別の補助対象経費や補助自体の公益性は問題にならず,本件につい ては,派遣職員が従事した業務に公益性がある以上,補助金の積算根拠 (補助対象経費の決定根拠)に給与相当額を含めるのは合理的であり,こ れが補助対象経費に含まれていることについて公益性の観点から改めて審 査する余地はない。補助金支出の手続においては,補助対象事業・事業 者を選定し,当該事業に要する経費のうち補助対象経費を決定し,そ れに対する補助金額を定めるところ,において当該事業に公益性がある かを判断し,において補助対象事業に要する経費のうち何を補助金の対 象とするかを決定し,市の予算上の考慮や対象団体の財政力を 勘案するが,公益性要件の審査対象でないことは明らかである。